女袴の着付け・その2

前紐をどう掛けるのがよいか分かったところで、次は帯結びを比べてみます。

帯は袴下帯を使用。

前紐は背中で1回結び、5回ねじったもの。

この条件で、帯結びのみを変えてみます。

 


↑は、前回と同じで、帯結びは山ヒダを1つ半とったもの。

 

↑の2つは、2本ダーツ。

 

 



↑の下段は、1つ山の向かいヒダ(2本ダーツの反対)。

帯の厚みに関しては問題ないように思われましたが、羽根の一番上の両端がシルエットの邪魔をしました。

 

写真ではわかりにくいかもしれませんが、斜め上から見ると(一番右の写真)、羽根の両端が跳ね上がっているようになってしまいます。

これではなだらかなシルエットになりません・・・。

 

実は中等科のテキストには、「帯結びは1つ山の向かいヒダ」との記載があるのですが・・・。

個人的な考えですが、昔ながらの女袴の着付けは、前回でも述べたように、前紐を後ろで「交差するのみ」です。

交差するだけなので、紐が滑って外れないようにするために、帯結びを向かいヒダにしたのでしょう。そうすれば羽根の両端がストッパーとなり、前紐が引っかかります。

 

でも化繊素材の袴だと、昔ながらの伝統的な「交差のみ」のやり方では紐が緩んでしまいます。

今の時代に即した「緩まないような着付け」にするには、工夫が必要となってきます。

帯結びの上でねじるのであれば、前紐が滑って外れることもないので、帯の羽根も向かいヒダにする必要もなく、なだらかな形でよいと思います。

 




この2段は似ていますが、上段はすのこだたみにした羽根を、幅半分に折ったもの。

下段は先に帯幅を半分に折ってから、すのこだたみにしたもの。

 

上段の方が、厚みのあるものを半分に折っているので、折った後も厚みができます。

下段の方が、厚みが少なく、すっきりとしていますね。

2つとも形はほぼ同じでも、ちょっとしたことで仕上がりが違ってきてしまうことが分かりました。

この2つを比較すると、下段の方が、良いです。

 

横から見るととてもすっきりしていて理想的なのですが、後ろから見ると、羽根の両端のなだらかさが少々足りないように感じました。

1つ半の山ヒダや2本ダーツのような蝶々のような羽根の方が、後ろから見たときの、中央から両脇にかけてのなだらかさがよりきれいな気がします。

残念ながら、袴の色が濃すぎて写真に撮ってもこのなだらかさは判別できませんでしたが・・・。

 


↑は、貝の口です。

厚みがないので、横からのシルエットはすっきりとしています。

 

しかし実際に結んでみて感じたのは、貝の口はタレとテが帯の上線より少し上に出てしまうので、袴を背中につけるときにその部分が邪魔になってしまいます。

また、写真だとわかりにくいかもしれませんが、一番右の写真にあるように、袴の脇から羽根が見えてしまいます。

 

よって、貝の口は却下。

袴の帯結びには適していないと思います。

 

 

このように比べてみると、山ヒダを1つ半、あるいは2つ(=2本ダーツ)が使い勝手が良いように思えます。

(袴下帯は幅が狭いので、3本ダーツは難しいです。)

ヒダの数は、タレがどのくらい余っているかによって調節します。

沢山余っているとすのこだたみしたときに厚みが生まれ、折りにくくなるので、ヒダの数が少ない方が羽根を作りやすいです。

 

 

ここまで、帯は袴下帯を使っての帯結びでした。

 

袴下帯は、半幅帯よりも幅が狭いです。

そして半幅帯にも、幅がいろいろありますね。

左の写真は、手元にある半幅帯と袴下帯の幅を比べてみました。

左の紫色の帯が袴下帯。

測ったら、幅が3寸6分(13.3㎝)、長さ9尺9寸(376㎝)でした。

右上の半幅帯は、化繊の小袋帯。幅が4寸5分(17㎝)で、長さが袴下帯よりも6寸(23㎝)ほど長かったです。

右下は博多の小袋帯。幅は3寸9分(15㎝)で、長さは袴下帯よりも7寸7分(29㎝)ほど短かったです。

 

このように帯にもいろいろな幅や長さがあり、また体型も様々ですから、一概に「この帯結びが適している」とも言い切ることはできません。

 

さらに小袋帯と単衣の帯では、厚みも違ってきます。

また、帯をひと結びした後、タレがどの位余っているのかも、考慮する必要があります。

ものすごく余っている場合は、羽根に厚みができてしまいますから、折りにくくなってしまいます。

あるいは体格の良い人であれば、タレはそれほど余っていなくても、帯結び自体になるべく厚みの出ない羽根の方が良いでしょう。

 

袴で優先するのは「背中のなだらかなシルエット」ですから、使う帯によって、帯結びを使い分ける必要がでてきます。

様々な条件がある中で、どの帯結びが良いかを考えなくてはなりません。

 

 

<結論>

基本的には

袴下帯なら、1つ半の山ヒダ、あるいは2本ダーツ。

半幅帯なら、2本ダーツか3本ダーツ。

いずれも、羽根に厚みが出ないヒダの取り方にします。

 

そして体型や帯の材質によって羽根の厚みが目立つようなら、幅を半分にしてすのこだたみ。

 

ふぅ。こんなところでしょうか。

ようやくまとまりました。これでもう迷わなくて済みます。

長々と、お付き合いいただき、ありがとうございました。

<m(__)m>

 

新型コロナウィルスの感染拡大がここまで大きな問題になるとは、はじめの頃は想像もしませんでした。

予想をはるかに上回り深刻さを増すばかりで、心配です。

皆さまどうぞ、くれぐれもご自愛くださいませ。