Tシャツ半襦袢

連休も最終日。猛暑の中、夏バテ気味の身体には休養が取れたのでありがたい4日間でした。

今年の夏はなかなか浴衣を楽しむ気分にはなりにくいのですが、でもせっかくの夏なので浴衣の着付けも練習しています。

 

浴衣は私が10代の頃(40年程前か?)は、地肌に直接着ていました。

つまり、下着⇒浴衣、ですね。

このころの浴衣はもっぱら綿コーマの、しっかりとした生地のものでした。

(他にもあったかもしれませんが、子どもでしたからそれしか知りませんでした・・。)

コーマ地は吸湿性があるので、汗を吸ってくれます。

しっかりした生地なので、下着が透けることもありません。

だから、下着の上に直接着ても問題なし。

 

でも今は薄い生地のものもたくさんありますね。

当然、生地が薄ければ下着が透けてしまいます。

だから、肌着は必要です。

 

昔は肌着を着なくても大丈夫だったコーマ地の浴衣でも、今は肌着は必要です。

昔と違って気温が高くなっているので、地肌に直接浴衣を着ると汗で浴衣がべっとりと肌に密着し、かえって不快に感じてしまうからです。

地厚のコーマ地に肌着を着ると余計暑いのでは?と思いがちですが、肌着で汗を吸い取らせる方が、断然身体がラクです。

 

浴衣の下に着る肌着は、<浴衣用スリップ>とか<浴衣下>のように「浴衣用」として売られているものもありますが、通常着物の下に着る肌着と同じで構いません。

<肌襦袢+裾除け>あるいは<きものスリップ>。

個人的には上下つながったスリップタイプの方が、お腹回りがモサモサしにくいので、良いかなとは思いますが。

<肌襦袢+裾除け>を着る場合、着る順番を  肌襦袢⇒裾除け  にするとよいでしょう。

肌襦袢の裾部分が浴衣にひびくのを防ぐためです。

 

←肌襦袢の上から裾除け。

この方が、すっきりとしたシルエットになりますね。


浴衣用肌着には「ノースリーブ」のものと「袖がついたもの」の2種類がありますが、透け感の強い浴衣だとノースリーブでは腕が透けてしまいますから、袖がついているものの方が良いでしょう。

もちろん透けない素材であれば、ノースリーブでも問題ありません。

 

薄い生地の浴衣だと、柄によっては半衿をつけて「夏きもの」として着ることもできますね。

(基本的に半衿と足袋はセットで考えます。)

半衿のない(そして足袋を履かない)浴衣姿は、洋服でいうところのサンドレス、というかリゾートウェア的なラフでくだけた装いです。

それに対して半衿をつけて(そして足袋を履いて)浴衣を着ると、フツーにカジュアルな夏の装い、と考えると、装いの違いが分かりやすいかもしれません。

 

この「半衿をつける」ですが、綿や麻あるいは化学繊維の浴衣だと、長襦袢だと暑くて仕方ありません。

(絹の夏きものだと、汗が着物に浸透しないよう、肌着や長襦袢でしっかりと汗を吸収させる必要がありますが。)

そこでいわゆる「うそつき襦袢、うそつき半衿」を使うと便利なわけです。

もちろん「うそつき」は通常のきものにも使えますが、夏の絹以外の着物にはもってこいです。

 

巷にはいろいろな「うそつき」が出回っています。

(くわしくは「なでしこ会」のブログで説明していますので、よろしければそちらをご参照くださいね。)

 

前置きが長くなりましたが、今回はその「うそつき」のひとつ、「Tシャツ半襦袢」についてです。

Tシャツに、半衿が縫い付けれているものです。

半衿部分には、好みで衿芯を入れられるようになっています。

3~4年前位から気にはなっていたのですが、後回しにしておりました。

でも数か月前に購入し、先週実際に着用してみました。

 


私自身も着用しましたが、ボディにも着せてみました。

↑左が、衿芯なし。真ん中と右が衿芯(今回は極薄)を入れたもの。

(ちなみに、衿芯は塩瀬などの縁のあるものは透けてしまいますから、コーリン衿芯などの縁なしのタイプが良いです。)

 

実際に着用してみた感想は・・・

「う~ん、便利かもしれないけれど、体型次第だな」

でした。

 

私が購入したのはLLサイズですが、衿合わせの角度が、私には合いませんでした。

V字が鋭角すぎて、衿の合わせ目が下すぎて・・・。

衿合わせを多少上にしようとすると、後ろの衣紋が抜き過ぎになってしまう・・。

 

自分で衿合わせを調節できない、あるいは調節する必要がない、というのは長所でもあり、短所でもあるな、と感じた次第です。

 


↑衿合わせ、結構下になっています。

右はこの状態での後ろの衣紋。かなり抜けています。

 

衿合わせ部分は、おそらくサイズごとに考えられて設計されているのでしょう。

でも、その角度がその人に合うかどうかは、その人の体型次第、なのだと思います。

 

他には、「頭からスッポリかぶせるだけ」というのも、長所でもあり、短所でもあるかな・・。

確かにラクなのですが、半衿にファンデーションがつかないように気をつける必要があります。

(私は頭に風呂敷を被ってから、このTシャツを着ました。)

また、ヘアセットで大きなお団子ヘアの人だと、セットが崩れる心配もあるかなぁ。

 

でも、胸紐や伊達締めが不要なので、確かにラクなことこの上ないです。

そして衿合わせや衣紋が崩れない、というのはメリットでしょう。

Tシャツの生地自体は肌触りもよく、着心地は良かったです。

 

長所短所両方あるな、というのが正直な感想でした。

ではどういう人、あるいはどういう場合にこのTシャツ半襦袢が便利なのかと、考えてみました。

 

・浴衣を着物風に着たい、でも道具は面倒だからあまり揃えたくない

・和食レストランなどのお仕事で、短時間に着物を着る必要がある

・普段着としてラクに着物を着たい

 

というように、きれいな着姿にこだわるというよりも、短時間に着られてラクに着たい、という人向きかな、と思いました。

 

商品自体は便利な物です。これは確か。

その上で、合う合わないは、その人次第。

 

これに限ったことではありませんが、便利とされているものを便利と感じるかどうかは、人それぞれなのですね。

また、数回使っただけではその便利さがわからない、ということもあります。

しばらく使ってみて、本当に便利かどうかがわかるのだと思います。

 

実はこの夏はこのTシャツ半襦袢以外に、いわゆる「便利小物」とされているものをいくつか使って過ごしています。

それらの使い勝手については、また別の機会にお伝えしようと思います。

 

厳しい暑さが続きますが、頑張って乗り切りましょうね。

今日もお付き合いくださり、ありがとうございました。

<(_ _)>

 

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