中等科に在籍していた頃、振袖帯結びの練習で羽根を形作っていたとき、帯によって垂れ先に線があるものと無いものがあることに気づきました。
ふくら雀の練習で、手先の羽根には線がないのに垂れ先の羽根には線が入っていて、どうも気になってしまったことがあります。
先生からは古い帯だから見えても仕方がない、デザインだと思って結ぶように、と指導されました。
この線は何だろう、と思って当時調べました。
今回はこの「垂れ先の線について」です。
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帯の垂れ先には3寸(≒ 10cm )の間隔をおいて2本の線が織り出されているものがあります。
垂れ先にある線が「界切線」。
垂れ先から 10cm ほどのところにある線が「オランダ線」。
界切線は表に出ていたり、内側に折り込まれていたりします。
←少し見づらいかもしれませんが・・・。
垂れ先のところに柄ではない金線が1本織り出されています。
これが「界切線」。
そして垂れ先から 10cm ほど上のところにも、界切線より幅広の金線が織り出されています。分かりにくいかもしれませんが、よく見ると柄が分断されていて金線が2本織り出されています。
これが「オランダ線」です。
界切線より下(↑の写真では垂れ先の内側に折り込まれて見えない部分)は、無地となります。
この無地部分を「界切」といい、帯の名称や機屋の名前が織り込まれています。
界切線より上に帯の柄があり、下の界切部分は無地。
つまりこの界切線が、「帯本体との境」なわけですね。
帯は、この界切線の前後で帯地を折り込んで仕立てます。
界切線を出さないのが「関東仕立て」、出すのが「関西仕立て」。
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↑は関東仕立てですが、オランダ線があるもの。
オランダ線は1本だったり2本だったり。
オランダ線がある帯はどちらかというと昔の帯に多く、最近の帯では少なくなっているように思います。
↑の右2枚は同じ帯です。
界切部分に帯の名称があるのがわかりますね。
オランダ線があると、帯結びによってはこの線が見えてしまうこともあります。
でもお太鼓結びでは、このオランダ線を隠すようにお太鼓の下線を作るとちょどよい大きさになるので、便利な目印となります。
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↑の3枚も関東仕立てですが、オランダ線のないもの。
やはり界切線が表側に出ていないと、見た目もすっきりしています。
界切線は1本線が多いですが、2枚目の写真のように2本線のものもあります。
一番右は古い帯ですが、振袖用だからでしょうか、オランダ線がないです。
昔の帯だからといって、必ずしもオランダ線があるわけではないようです。
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![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=179x10000:format=jpg/path/s3fee67c0194ff7b0/image/i4d69b1d490824ada/version/1631781789/image.jpg)
そして↑が、「関西仕立て」の帯です。
界切線を出したギリギリのところで折っています。
手持ちの帯にはありませんが、関西仕立ての帯の中には界切線ギリギリのところで折るのではなく、界切線から1分(≒ 3.8mm)出して仕立てる「一分立て」というのもあるそうです。
これは使い続けて垂れ先の角が擦れてきたときに、擦れたところを内側に入れて仕立て直すことができるから、なのだそうです。
1つのものを長く大切に使う昔の人の知恵ですね。
現在は、界切線を出さない「関東仕立て」が一般的です。
やはりこちらの方が見た目もスッキリしていますね。
今回は「関東仕立て」「関西仕立て」について取り上げてみました。
それにしても、着物の世界ではやたらと「関東・関西」が多いですね。
この「界切線・オランダ線」についても、調べていくうちにだんだんと面白いことがわかってきました。
次回以降も、もう少しお付き合いくださいませ。
(⌒∇⌒)/